肥料

TACブラックTACブラック

前回は、畑の土台をつくる「堆肥」のミッションに挑戦した。
しかし、どれだけ良い土を作っても、それだけでは野菜は大きく育たない。野菜が成長するためには、人でいう“食事”にあたる栄養が必要だからだ。
そこで、今回のミッションは、その栄養を補給する「肥料」だ。

・肥料にはどんな種類がある?
・袋に書かれた数字にはどんな意味がある?
・なぜ肥料の与えすぎは良くないのか?

これから、野菜づくりの基本となる「肥料の役割と使い方」について見ていこう。

ミッション① 農作物に必要な栄養を知ろう

前回学んだ「堆肥」は畑の土を育てるものだった。
肥料とは、農作物が健全に生育に必要な養分を補給するための資材のことだ。
肥料には主に“窒素(N)”“リン酸(P)”“カリウム(K)”の3つの栄養素が含まれていて、これらを肥料の三要素という。“窒素(N)”は葉肥はごえといって葉や茎の成長を促す肥のこと、“リン酸(P)”は実肥みごえといって花や実の成長を促し、根の発達にも役立つ肥、“カリウム(K)”は根肥ねごえといい根の発達を促し耐病性を向上させる肥なんだ。たとえば、葉物類だと“窒素(N)”、トマトやナスなどの果菜類だと“リン酸(P)”、ダイコンやニンジンなどの根菜類だと“カリウム(K)”が重要となる。このように、作物の種類によってどの栄養素を重視するかが異なるんだ。

肥料の三要素(N・P・K)と植物への働き

これらの栄養素をバランスよく与えることで、健康でよく実る作物が育ちます。

このように、肥料の三要素にはそれぞれ異なる役割があり、農作物の生育に合わせて必要な養分を補給することが大切だ。
ところで、実際に肥料を選ぼうとしたとき、こんな表示を見たことはないか?
これらの数字は何を表しているのだろうか?

ミッション② 肥料袋を読めるようになろう

肥料袋を選んでみると「8-8-8」や「14-10-13」などの数字が並んでいる。これらは、肥料に含まれる“窒素(N)”“リン酸(P)”“カリウム(K)”の割合が示されている。先程の「8-8-8」だと、“窒素(N)”8%、“リン酸(P)” 8%、“カリウム(K)” 8%といった具合だ。肥料を選ぶときには「どんな成分がどれだけはいっているのか」を確認することが大切だ。

 

TACイエローからワンポイントアドバイス

肥料選びで大切なのは、成分表示を見ること。農作物やほ場によって必要な養分は違う。 肥料袋の数字は、その作物やほ場に合った肥料を選ぶための重要なヒントになるぞ。

ミッション③ 肥料を使い分けよう

ミッション②で、肥料袋の数字から含まれている栄養素が分かるようになったな。
だが、肥料選びで見るべきなのは成分だけではない。
肥料には、「早く効くもの」「ゆっくり効くもの」、「植え付け前に使うもの」「生育中に使うもの」など、それぞれに違った特徴がある。
このミッションでは、肥料の特徴を知り、作物や栽培状況に応じて使い分けられるようになろう。

肥料名 成分量(%) 備考
窒素 リン酸 カリウム
有機質肥料 綿実油粕 6 2 1.3
菜種油粕 5.3 2 1
骨粉配合 3 20 綿実入り
醗酵ベレットけいふん 3.7 5 3.6
米ぬか 2.0 3.8 1.5 油成分があるため分解しにくい
草木灰 2 5 カルシウムも含む
単肥 硫安 21
尿素 46
過リン酸石灰 17.5
ようりん 20
塩化カリ 60
硫酸カリ 50
化成肥料 神徳化成 8 8 8
リン加安14号(14-10-13) 14 10 13
IB化成S1号 10 10 10 緩効性肥料
有機入化成968 9 6 8 有機化成
富士化成 15 15 10 水に溶けやすく、土壌に吸着するため濃度障害が出にくい
化成13号 3 10 10 窒素を控える野菜に利用する
クミアイ液肥2号 10 4 8 300~500倍に薄めて使う

出典:大阪府 泉州農と緑の総合事務所 刊/『初心者のための市民農園』から

⭐︎有機質肥料
有機質肥料とは、油かすや魚粉、骨粉などの動植物由来の有機物を原料とする肥料のことだ。
土中の微生物の働きにより徐々に養分に変わるため、肥効がゆっくり現れるのが特徴だ。また、微生物の活動を助けるため、土壌改良効果も期待できる。化成肥料と比べると即効性は低いが、じっくりと効果が続くため、土づくりと養分供給を両立したい場合に活用されることが多いぞ。

⭐︎単肥
単肥とは、窒素・リン酸・カリウムのうち、特定の養分を主成分とする肥料のことだ。
ほ場によって不足している成分だけを補給したい場合に活用される。土壌診断の結果をもとに施肥設計を行う際にも重要な肥料なんだ。作物ごとに必要な養分は異なるため、三要素を細かく調整したい場合にも役立つぞ。

⭐︎化成肥料
化成肥料とは、窒素(N)・リン酸(P)・カリウム(K)などの養分を化学的に配合してつくられた肥料のことだ。施用後は比較的早く効果が現れ、必要な養分を効率よく補給できる。また、肥料袋に表示されている成分量が分かりやすく、作物に合わせて施用しやすいのが特徴だ。ただし、肥効期間が短いものもあり、一度に与え過ぎると肥料焼けを起こす原因となるため注意が必要だ。
また、化成肥料の中には、原材料に有機物を20%以上含む比較的遅効性の有機化成や、化成肥料に科学的処理をし、遅効性にしたIB肥料、表面を樹脂でコーティングしたコーティング肥料などもあり、目的に応じた使い分けが行われている。

 

TACレッドからワンポイントアドバイス

・有機質肥料は「ゆっくり長く」
・単肥は「必要な養分だけ」
・化成肥料は「効率よく素早く」
それぞれの特徴を理解し、作物やほ場の状態に応じて使い分けることが大切だぞ。

ここまできたらもう一息。

ミッション④ 肥料はいつ施用するかについて学ぼう

施用するタイミングは、大きく2つある。 農作物の植え付ける前と生育途中。
植え付ける前に施す肥料を元肥(もとごえ)、 生育途中に追加で施す肥料を追肥(ついひ)という。

⭐︎元肥もとごえ
作物が根を張り、生育をスタートさせるための養分をあらかじめ補給しておく役割がある。
一般的には、有機質肥料や緩効性の化成肥料が元肥として利用されることが多い。有機質肥料は微生物による分解が必要なため、植え付け前に施しておくことで生育期間中にゆっくりと効果を発揮するんだ。

⭐︎追肥ついひ
作物は成長するにつれて必要な養分量が増えるため、生育状況を見ながら不足する養分を補給していく。追肥には、比較的速効性の高い化成肥料がよく利用される。また、窒素やカリウムなど、特定の養分だけを補給したい場合には単肥を使用することもある。

 

肥料は多ければ良い、というわけではない。
適切な栄養を適切な量で、適切なタイミングで施肥することが重要なんだ。

ミッション⑤ JA堺市で扱う主な肥料を知ろう

有機質肥料

化成肥料

配合肥料

化成肥料と有機肥料など数種の肥料を組み合わせた肥料で、一般的には化成肥料が成育初期を支え、その肥効が落ちてくるころに有機由来の養分が徐々に効き始める。速効性と持続性を兼ね備えている肥料。

TACブラックTACブラック

肥料についてのミッションはこれで完了だ!
だが、実は畑づくりにはまだ重要な資材が残されている。それが「石灰」だ。畑づくりでは肥料を施す前に「石灰」をまくことがある。畑の準備では「石灰 → 堆肥 → 肥料」の順に施用することが多いが、なぜ最初に石灰を入れるのだろうか?何か役割を持っているのか?
次回のミッションでは、「石灰」についてともに学ぼう!