報告(ほうこく)します。テングサの煮汁(にじる)を固(かた)めた心太(ところてん)は中国(ちゅうごく)から伝(つた)わり平安時代(へいあんじだい)には身分(みぶん)の高(たか)い人(ひと)たちが食(た)べていましたが、寒天(かんてん)は江戸時代(えどじだい)のはじめに日本(にほん)で発明(はつめい)されたものとされています。余(あま)った心太(ところてん)を冬(ふゆ)の寒(さむ)い屋外(おくがい)にほったらかしにしていると、芯(しん)まで凍(こお)る、解(と)ける、乾(かわ)くを繰(く)り返(かえ)して寒天(かんてん)ができたという、偶然(ぐうぜん)がもたらしたものでした。

食品(しょくひん)としては羊羹(ようかん)や杏仁豆腐(あんにんどうふ)などのお菓子(かし)の原料(げんりょう)として使(つか)われます。お菓子(かし)以外(いがい)でも野菜(やさい)や魚介類(ぎょかいるい)を寒天(かんてん)で固(かた)めた料理(りょうり)がありますね。水分(すいぶん)を保(たも)ち続(つづ)ける力(ちから)が強(つよ)いので肌(はだ)の潤(うるお)いを保(たも)つ化粧品(けしょうひん)としての利用(りよう)もあります。1881年(ねん)に寒天(かんてん)を用(もち)いた微生物(びせいぶつ)や細胞(さいぼう)の培養法(ばいようほう)が開発(かいはつ)されると、全(ぜん)世界(せかい)で利用(りよう)されるようになりました。

伝統的(でんとうてき)な方法(ほうほう)は心太(ところてん)を屋外(おくがい)で干(ほ)すもので長野県(ながのけん)を中心(ちゅうしん)に棒(ぼう)寒天(かんてん)や糸(いと)寒天(かんてん)が作(つく)られています。「原料(げんりょう)は海藻(かいそう)なのになぜ海(うみ)の無(な)い長野県(ながのけん)で？」と思(おも)われるかもしれませんが、冬(ふゆ)寒(さむ)くて、乾燥(かんそう)していて雪(ゆき)も少(すく)ないことが寒天(かんてん)作(づく)りに適(てき)しているからです。ただし、冬(ふゆ)にしか作(つく)れず、品質(ひんしつ)を一定(いってい)に保(たも)つこともできないので、冷凍(れいとう)庫(こ)を使(つか)って工場(こうじょう)で作(つく)る粉寒天(こなかんてん)もあります。以上(いじょう)です。