それいけ!食農探検隊
農業もポートフォリオ?
農業もポートフォリオ?
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水を張った田んぼでのお米作りは毎年収穫が期待できますが、畑で同じ作物を作り続けると、だんだんできが悪くなりますよね?
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連作障害と呼ばれるものだね。同じ作物を作り続けると土の中のバランスが崩れてしまうんだ。必要な肥料が取れなくなって作物が育ちにくくなるんだよ。
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それでは、毎年違った作物を植え付ければ連作障害にならないんですか?
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そうねえ。例えばナス→ジャガイモ→トマト→ピーマンみたいに、ナス科の野菜ばかりを植え付けしたら連作障害になるわよ。個々の作物ではなく、何科になるかを考える必要があるのよ。
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多くある科の中にも連作障害になりやすいタイプとか、なりにくいタイプがあるんですか?
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例外もあるけれど、なりやすいのがナス科、ウリ科、マメ科、アブラナ科といったところ、なりにくいのがセリ科、ヒガンバナ科、ヒルガオ科、キジカクシ科といったところかな。
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セリ科まではどんな野菜か想像できますけれど、ヒガンバナ科、ヒルガオ科、キジカクシ科の野菜って…。
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ヒガンバナ科にはネギ、ヒルガオ科にはサツマイモ、キジカクシ科にはアスパラガスがあるわよ。もっとも、昨今は学問の進歩が速いから気が付いたらまったく違う分類になっているかもね。
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連作障害を防ぐには科を変えての輪作なんですよね?
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他にはよそから土を持ってくる客土、相性の良い組み合わせを植え付けるコンパニオンプランツとかあるけれど、基本は輪作だね。その中に水を張る田んぼがあるとなお良い。
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なぜ、田んぼが入っていると良いんですか?
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水を張った田んぼでの米作りでは連作障害にほとんどならないんだ。大きな理由は水を張ったり抜いたりすることで土の中の環境が一変するからだ。夏に米、冬に米以外の作物を作る二毛作ができるのもこのためだ。
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家庭菜園では田んぼにすることは難しいので、どんな方法がありますか?
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一番簡単なのは畑を分けることかな。4つには分けたいわね。4つの科の野菜を順繰りに植え付けることができれば理想的ね。
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畑を4つに分ける…。何か資産運用で様々なものに投資するポートフォリオみたいですね。
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発想としては似たようなものかな。気持ちとしてはより美味しく、より多く収穫できる作物を植え付けたいところだけれどね。ただ、それをやってしまうと病気が流行したら大変なことになるんだ。
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具体的にどんなことが起こったんですか?
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例に挙げると19世紀中ごろのヨーロッパでのジャガイモの不作ね。このころのヨーロッパでは多く収穫できるけれど、特定の病気に弱い品種ばかりを植え付けしていたのよ。この病気自体は全世界に広がったの。でも、原産地のアンデスでは常に複数の品種を植え付けていたから大きな被害にならなかったのね。
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なるほど。効率だけを求めてはいざというとき危なくなる。だからリスク管理は大切なんですね。
補足
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堺市の農家さんには大きな農地を持つ方は少なく、小さな農地で効率良い営農に勤しむ方が多くいます。その方たちの営農に多く共通する点は「少量多品目」です。コンパニオンプランツの要素もあり、季節で植え付ける野菜の組み合わせを一変させていますので、二毛作を超えていますね。







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